皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本雅暁です。
9月10日付の日経新聞に、『米シティ、企業の海外送金を即時にトークン化預金、外資初参入』のタイトルで記事が掲載されました。
本日はこの記事について、考えを述べます。
本記事の冒頭部分は以下の通りです。
『米シティグループは年内にも、ブロックチェーン(分散型台帳)を使った「トークン化預金」による海外送金サービスを日本企業向けに始める。夜間や休日でも外貨を瞬時に送金できるようになる。。。』
外資系金融機関として日本企業向けの同サービス提供は初となります。従来の国際送金システムが抱えていた夜間・休日の送金遅延や資金拘束といった課題に対し、金融実務がどのように変化するのか、そのポイントと課題を述べます。
- トークン化預金サービスがもたらす主なメリット
トークン化預金は、既存の銀行口座にある預金をブロックチェーン上で扱えるデジタル形式に置き換えて送金する仕組みです。本サービスの導入により、企業側には主に以下のメリットが生じます。
●24時間365日の即時送金
銀行の営業日や営業時間、相手国の祝日に依存せず、米国、英国、シンガポール、香港、アイルランドなどの主要拠点間での外貨即時移転が可能になります。
●資本効率の向上と資金調達コストの削減
従来の送金では、着金遅延を見越して事前に現地口座へ資金を移動・滞留させる必要がありました。即時送金が可能になることで、支払いの直前まで資金を手元に留保でき、無駄な待機資金(バッファー)を削減できます。
●導入プロセスの簡素化
シティの発表によると、送金指示画面で該当のオプションを選択するだけで利用可能とされており、自社で独自のブロックチェーン基盤や分散型インフラを構築・運用する手間がかかりません。
- 中小企業における活用シナリオ
本サービスは大規模なグローバル企業だけでなく、海外取引を行う中小企業にとっても実務上のメリットを提供します。
●急な海外仕入れや決済への即時対応
海外デベロッパーやサプライヤーに対する緊急の支払いや、金利・為替の急変時に合わせた即時決済など、機動的な資金移動が可能になります。
●海外拠点・現地パートナーとの資金繰り改善
海外子会社や提携先への資金充当をリアルタイムで行えるため、小規模な海外拠点側で過剰な予備資金を口座に保持しておく必要がなくなります。
- 想定される課題と注意すべき事項
一方、実務への本格導入にあたっては、以下の点について検討と確認が必要です。
●利用範囲の限定(シティグループ内口座での運用)
初期段階では、自社および送金先がシティグループ内に保有する口座間に制限される可能性が高い点に注意が必要です。他行口座への送金については、SwiftやTCH(ザ・クリアリング・ハウス)といった国際機関・決済インフラとの相互運用基盤の確立を待つ必要があります。
●手数料体系および適用為替レートの確認
即時送金という付加価値に対し、従来の送金手数料や為替スプレッドと比べてどのようなコスト設定がなされるか、実務的なコスト対効果の検証が必要です。
●社内会計・税務処理およびガバナンスの整理
24時間365日いつでも資金移動が可能になる反面、夜間や休日の送金に関する社内の承認フロー、権限設定、会計データとの連携方法についてルールを再構築する必要があります。
米シティグループの参入を契機に、国内金融機関によるトークン化預金やステーブルコインを活用した国際決済基盤の整備がさらに加速することが予想されます。企業としては、自社の海外取引先との決済ルートや口座環境を確認しつつ、段階的な活用を検討することが必要です。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A山本雅暁