皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
1月3日付の日経新聞に、『少額の国際送金を即時にみずほ銀など17カ国32行 フィンテックに危機感』のタイトルで記事が掲載されました。
本日はこの記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は以下の通りです。
『国際送金を一手に担う国際銀行間通信協会(Swift、スイフト)はみずほ銀行や米JPモルガン・チェースなど世界17カ国の32行で、個人などの少額送金を即時に着金させる仕組みをつくる。フィンテックが台頭するなか、決済の遅さを改善し、銀行送金の利用を増やす。』
この記事では、既存の国際銀行間通信協会(Swift)が少額送金の迅速化を実施することについて書いています。ベンチャー・中小企業にとって、銀行送金の迅速化は、キャッシュフローの改善につながるメリットがあります。
しかし、多くのベンチャー・中小企業にとって、さらに重要なことは、国際送金手数料の低額化です。
現在、ベンチャー・中小企業が海外事業を行う場合、決済は銀行送金かクレジットカード払になります。両方の選択肢とも、一定規模の手数料が生じます。
私の支援先企業は、近年、新たな決済手段として、ワイズ(Wise)を活用した海外送金を行い始めました。私は、主に欧米アセアンなどの英語圏市場への販路開拓・集客支援を行っています。この観点から以下の点について記事を書きます。
ここでは、Wise(ワイズ)導入のメリット・課題・注意点を概説します。
欧米やアセアン市場へ販路を拡大し、世界を舞台に挑戦する中小企業にとって、避けて通れないのが「国際送金」の問題です。
「銀行の送金手数料は高いのが当たり前」 「着金まで何日かかるか分からず、現地の取引先に心配をかけた」
私の支援先企業は、そんな経験をしています。日経新聞でも報じられた通り、Swift(銀行間ネットワーク)も即時化に動き出していますが、コスト面では依然として課題が残ります。本記事では、支援現場の視点から、中小企業がWiseを活用するためのポイントと注意点を概説します。
1. なぜ今、中小企業にWiseが必要なのか?
これまで国際送金といえば、メインバンクの窓口や法人ネットバンキングを使うのが常識でした。しかし、そこには「隠れたコスト」が存在します。
●銀行送金に潜む「3つのコスト」
・送金手数料: 数千円の定額。
・為替スプレッド: 銀行が設定するレートに含まれる手数料(1ドルあたり1〜2円程度)。
・中継銀行手数料: 送金ルートの途中の銀行が差し引く不明瞭な費用。
数万円の少額送金でも、合計で1万円近いコストがかかることも珍しくありません。対してWiseは、「実際の為替レート(ミッドマーケットレート)」を使用し、手数料を透明化。銀行と比較して、送金コストを最大10分の1にまで抑えることが可能です。
2. Wise Business 導入の4つのメリット
中小企業がWiseを利用する場合、法人アカウントである「Wise Business」が基本となります。
●圧倒的なスピード着金
欧米向けなら数分から当日、アセアン地域でも多くが24時間以内に着金します。支払期限が迫っている海外広告費の決済や、スピード感が求められる仕入れにおいて、この速さは強力な武器になります。
● マルチカレンシー口座(複数通貨口座)の保有
Wise内で米ドル、ユーロ、ポンド、シンガポールドルなど、主要通貨の「現地口座情報」を直接取得できます。これにより、海外の取引先から「国内送金」と同じ感覚で外貨を受け取ることができ、受取時の手数料も大幅に節約できます。
●法人カード(デビット)の発行
海外出張時や、海外サービスのサブスクリプション支払いに使える法人カードが発行できます。為替レートが良い状態で決済できるため、経費削減に直結します。
● 会計ソフトとの自動連携
日本の主要なクラウド会計ソフト(freee、マネーフォワードなど)とAPI連携が可能です。銀行明細と同様にデータが自動で取り込まれるため、経理担当者の負担が増える心配もありません。
3. 導入にあたっての「課題」と「ハードル」
メリットの多いWiseですが、導入に際してはいくつかの「ハードル」があります。
●「銀行ではない」という心理的障壁: Wiseは銀行免許ではなく「資金移動業者」としてのライセンスで運営されています。100%の履行保証が求められる日本の法律下で運営されていますが、長年銀行と付き合ってきた経営層には説明が必要です。
●1回あたりの送金上限額: 日本の法律上、1回あたりの送金上限は100万円です。それ以上の高額決済を行う場合は、複数回に分けるか、別途銀行送金を併用する必要がありました。
この課題については、ご参考情報1項に後述します。
●対面サポートがない: 銀行のような担当者はつきません。チャットやメールでのサポートが中心となるため、トラブル時に自力で対応できるITリテラシーが求められます。
4. 運用上の注意点と成功のポイント
トラブルを防ぎ、スムーズに運用するための3つの鉄則があります。
● 本人確認と審査の準備
法人アカウントの開設には、法人の履歴事項全部証明書や代表者の本人確認書類、そして「事業内容が分かる資料」の提出が求められます。特に欧米アセアン市場での活動実態を明確に示すことが、審査をスムーズに通すコツです。
●税務調査対策
「Wiseの送金証明書」と「相手方からのインボイス」をセットで保存しておけば、税務上の問題はありません。事前に顧問税理士に一報入れておくのがスムーズです。
●送金目的の明確化
国際的なマネーロンダリング対策(AML)により、送金目的の確認が厳格化されています。送金時に「商品の仕入れ」「コンサルティング費用」など、正確な目的を選択することを徹底してください。
5. まとめ:国際競争力を高める「決済の最適化」
中小企業の海外進出において、固定費の削減は最優先事項です。これまで「仕方ない」と諦めていた銀行手数料をWiseで低減化することは、一つの選択肢になります。
欧米やアセアン市場への販路開拓を成功させるために、まずは少額のテスト送金から、Wiseの利便性を体感することをお勧めします。
ご参考情報
1.Wiseは、2023年3月12日、金融庁より第一種資金移動業者の認可を取得しました。これにより、Wiseでの送金は対応通貨で最大1億5千万円の送金が可能になっています。
2.Wise Business(法人アカウント)トップ
法人アカウントでできること(請求書払い、一括支払い、API連携など)の全体像がわかります。
https://wise.com/jp/business/
以上の説明が参考になれば幸いです。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A山本雅暁